ぷーちゃん
キャプテンウソップからのお知らせ 2

 

ナミの誕生日から2ヶ月。命をかけたナミからの指令を、
無事に遂行した俺たちは、そんな指令を受けたことも忘れて
(いや、心底、記憶から抹消したかったんだ)
船尾で平和に釣りを楽しんでいた。

音もなく背後から近づいてきた奴は、
まさに獲物を狙う猛獣だった・・
氷よりも冷たいであろう眼差しで、口元だけが僅かに歪み、
奴は笑ったつもりだったのだろうが、
俺たちにとっては、背筋どころか、内臓までも凍りつきそうな恐怖だった。

「おい、お前ら・・・ナミに随分いいものやったみたいじゃねぇか?」
「な。。。なんのことだ??」
隣で、チョッパーが顎をカクカクさせながら、泡を吹きかけている。

「へぇ〜この期に及んで、シラを切るとはいい度胸だな。」
「いや、あれはだな、ナミがどうしてもって言うから・・・
そうだ!ナミはゾロが自分のことをどれ位好きなのか、
その愛の深さを確かめたいっていうんでな・・・俺たちはただ、
その手伝いをだなぁ・・・」
「世界中に公開してくれるとはなぁ」
チョッパーと俺の首に冷たいものが添えられる。
二刀流かよ〜〜〜〜〜
「公開したのは、ナミだよぉ〜〜」
涙と鼻水でグシャグシャになったチョッパーが叫ぶ。

「そうだ!俺たちは、公開されるなんて知らなかったんだ!
それに、反対もしたんだぞ!!でも、ナミが・・・・」
「あぁ、最近、羽振りもいいし、ご機嫌みたいだな。」
「ナミは、あの日記読んだ時、すごく嬉しそうな顔して笑ったんだよ!」
必死でチョッパーが訴える。
心なしか、ゾロの顔が少し緩んだ気がしたが・・・

「目には目を・・・だな。」
「?!・・・・・・!!」
「どうして、ナミが俺と付き合う気になったのか、教えて貰おうじゃねぇか。」

断れる奴がいたら、そいつは自殺希望者だ。
この恐怖に比べたら、魔女の微笑みなんて、
南国の楽園のようなものだったぜ・・・

こうして俺たちは、ゾロにナミの心の日記を提供することになった。
ただし、ゾロにはこの日記を公開する意志は
全くなかったようだ。大切に、大切に、しまってあったんだ。

この日記が公開されるのは、一人の悪魔が存在したからだ。
はっきりと、明言しておく。
特に、ロロノア・ゾロ!お前にだ。
俺たちは、何回も止めたんだからな!
でも、これ以上、逆らったら、俺たち飢え死にしなくちゃならないんだ。
許してくれ・・・・

というわけで、日記を読みたい奴は100万ベリーを
下記の口座に送金してくれ。
折り返し、日記を読むためのパスワードを送ろう。
俺たちは、命がけなんだ。100万ベリーでも安いと思ってくれ。

キャプテンウソップ
送金先
イーストブルーバンク
バラティエの近く支店 普通 323232
口座名義人  サンジ
(何でサンジかって・・・あいつが悪魔なんだよ・・・お前、馬に蹴られて死ぬぞ・
・)
「バ〜〜カ、蹴り返してやるよ!」












*******以下の日記を読むためには、パスワードが必要です*******













B月A日
頭に靄がかかって、朦朧としていた。
ビビに、「進路なら私が見てるから。」と言われ、答えようとしたときに、
バランスが崩れて・・・
1回倒れこんでしまったら、起き上がろうという意志とは裏腹に、
体は全く私の言うことを聞かず、起き上がることはできなかった。

ビビの、「大変!ナミさんが!」という声が遠くに聞こえる。
みんなが駆け寄ってくるのがわかって、
大丈夫よと言おうとしたのに、声がでなくて、
ふうわりと、身体が宙に浮いた。

瞼を開くことさえ困難で、
でも少しひんやりと感じるその体温が心地よくて、
ゆっくりと降ろされる時に、
ゾロに抱かれて運ばれてきたことを知った。

骨までが震え出すような寒気と、
頭の芯から溶けていくような、猛烈な熱さが
交互に私を襲う。

ビビが心配そうに私を覗きこんでいる。
ルフィの、ウソップの、サンジ君の声が聞こえる・・・
心配かけたくない。
こんな大事な時に倒れるなんて・・・・
寝ている場合じゃないと思う気持ちと、
ゾロの姿が見えないことが、気になった。

崩れそうになる身体を、叱責しながら、捜しに行くと、
甲板で、ゾロは進路を見ていて・・・
全然役に立っていなかったけど、私の替わりに?と思ったら、
これが、この男の不器用な優しさなんだと、素直に思えた。





B月B日
ビビが額のタオルを交換してくれる。気持ちいい・・・
サンジ君が、おかゆを、せめて飲み物を。。。と声をかけてくれる。
ルフィとウソップの騒ぐ声が聞こえる。
またゾロの気配を感じられない。
ゾロは?ゾロはどこにいるの???
また甲板に・・・・

凍えそうな寒さの中で見た夢は、
暗闇に一人取り残され、闇の中から次々と顔の見えない手が
私を絡めとって行く。
逃れたくても、身体を動かせず、
必死で、探す。
私を護ってくれる人はどこ?
・・・いつも私の側にいて、私を護ってくれた人・・・
その眼差しを探していた。

「ゾロは?」
「あいつなら、見張りをしてますが?」
ああそうか・・・ここにはいないんだ。だから・・・

全身から、汗が流れて行くのを感じる。
吐く息までもが熱い。
内側から溢れる熱さの中で見た夢は、

身体中を鈍器で殴られ、鋭利な刃物で切り裂かれて行く。
熱い、痛い、骨が軋む。
熱い、あつい、アツイ・・・助けて・・・息ができない・・・
喉がカラカラに渇いて、声帯が喉に張り付く。
唇を動かすことができない・・・

いつも助けてくれたのに。
出会った時からいつも、いつも・・・
私を護ってくれたあいつが側にいない。
だから、こんなに苦しいんだと、薄れる意識のなかで考えた。

何度も繰り返される、寒さと熱さ。
夢と現実の狭間に、一瞬覚醒する意識で
自分がゾロを探して、求めていることを認識する。

ようやく開いた瞼で、部屋を見渡せば、
ゾロは、そこにいた。
大鼾で寝てるけど・・・
今は、ここにいる。
安心して、身体から汗が引いて行くのがわかる。

そうだったんだ。いつも側にいたから、
それが当然だと思っていた。
当たり前すぎて、気がつかなかったんだ。

ゾロが側にいないことで、不安になるなんて・・・
側にいるとわかっただけで、こんなにもホッとするなんて・・・






B月C日
ゾロの視線を感じる。間違いない・・・
なのに・・・声が出ない。

「・・・・頼む・・・最初で、最後の願いだ。
こいつを、連れて行かないでくれ。もう、何も望まないから・・・」

誰と話しているんだろう。
私、元気になるから。必ず元気になって、
あんたに言わなきゃならないことがあるのよ。






B月D日
ルフィに背負われて、医者の所へ行く。
大丈夫、こいつらなら、絶対なんとかしてくれる。
それに、私はまだ死ねない。

暗闇の中から、伸びてくる顔の見えない手を、
次々と斬りはらっていく刀が見えた。
身体が動く。
もう、大丈夫なんだ・・・
目を開くと、見知らぬベッドの上にいた。

元気になった身体は正直で、
一刻も早くゾロに会いたい。
なんて言おう・・・
ゾロ、どんな顔するだろう・・・





B月E日
チョッパーの歓迎パーティは、夜が更けても続いていた。
酔っ払いながらも、
「病み上がりなんだから、早く部屋に戻って休め」って、
みんなが次々に言いに来る。
生返事をしながら、ゾロが来るのを待っている。

私が誰かと話していると、背中に、うなじに、横顔に、
ゾロの視線を痛いほど感じるというのに、
私が視線を向けると、あわてて顔をそむける。
どうしたっていうんだろう。

チョッパーがつぶれ、ルフィがつぶれて、ウソップが続き、
サンジ君がビビと話し込んでいる。
ようやく、ゾロと話せるv
グラスを持って隣に座ると、不機嫌としか思えないような、
眉間に皺をよせた顔で、
「よかったな。」と言った。

「そうね。あのまま死んでたら、私、絶対に成仏できなかったと思うわ。」
「そりゃそうだ。」少し笑った。
「私ね、言い残したことがあるの。」
「遺言か?」
「あんたのこと、嫌いじゃないっていったけど、やっぱり違ってた。」
「・・・・・・・」なんで、哀しそうな顔するの?
「私、気がつかなかったの。みんなのことも大好きだけど、
ゾロは、特別なんだって。やっとわかったの。」
「・・・・・・・」
「私の側にいて。」

ゾロは、驚いたみたいで、私の顔を見つめた後
満面の笑顔で私を抱きしめて、耳元で
「俺の側から、離れるな。」そう言った。

胸がドキドキして、顔が紅潮するのがわかった。
また、熱が上がってきたみたい。
抱きしめられたまま、息を吸ったら、ゾロの匂いがした。






B月F日
朝起きて、進路を見に行くと、ゾロがトレーニングをしている。
おはようって言ったら、「よっ」って手をあげて、応えてくれた。

寒い島だったから、みかんが心配だったけど、
木の根元には、藁が敷かれていて、
船に残っていたゾロが敷いたのだろうか。
肥料を持ってきてくれたゾロに
「ありがとう」っていったら、
「他にすることもなかったからな」って、ぶっきらぼうに答える。

「この間は、悪かった。」
沈黙の後に、いきなり言うから、なんのことだか判らなかった。
格納庫でのことを、言ってるんだ・・・

「そうね・・・許せないわvvあんな乱暴なの。」
「済まない。」
「結婚するまでは、純潔でいたい主義なの。」
「・・・?!」
「だから、私を護ってねvv」
そう言って笑ったら、

「キスぐらいは、させろ。」
そう言って、優しく優しく・・・口付けされた。
ゾロ・・・大好きだよvv







**********


ゾロに渡した日記はここまでだ。
奴は、男部屋に篭ってそれを読み、
私物の奥深く、大切に大切にしまったんだと思う。
(それを、この間、大掃除していたサンジが見つけたんだ。
掃除に参加しないで、昼寝していたゾロも悪いと思うぞ・・・)

その後で、甲板に来て、チョッパーの頭を撫で、
俺の肩を軽く揉み(気味悪い以外の何物でもなかったが・・)
去っていった。

最後になったが、注意事項だ!
前回の日記を読んで、そのことを口外した奴!!
お前のせいで、俺たちは死にそうな目にあったんだぞ。
またもや、この日記が公開されたことが、
漏れ伝われば、間違いなく俺たちは殺される。
絶対に口外しないでくれ。頼む・・・・



勿論続きがあるはず


「キスくらいはさせろ」がとてつもなくイイと思いません???
エーvvvvだって情景が目に浮かぶカンジじゃありません事??
ちょっと照れたカンジで言うのよーvvvvvラヴッv
あとねぇ、こっそりそれをひとり読んでる彼を想像してしまったの、
因みに体育座りで読んでるカンジです(笑)
ア。違うんですか??それは残念・・・
ともかく続きが読めてよかった
流石ネェさん、素敵な物をありがとうv
そして又よろしく(悪だなー・・・・)
inserted by FC2 system