position 2


意外だって笑う?

好いんだ、笑われても。
だって、本当のことだし。

それすらあなたに知って貰いたいのよ。


甲板の上で微睡んでいたら、昔のことを思い出した。
そう、アレは、初めて会った時のこと。
今でも、あれから三年たつけどよく覚えてる。


こんな晴れた昼下がりだった。
初めてきいたあの声。


今でも、


「たぁしぎー!!」

そう、こんな風に呼ばれるんだ。

再び微睡みかけてたときに聞こえたその声は夢の中で聞いた声ではなく、
現実で発せられているモノらしい。
ハイと、勢いよく返事をして立ち上がろうとした。
そのとき、後頭部をパシッと掌で叩かれた。

「な、何ですか。」
痛いじゃないですか、と叩かれた頭をさすりながら振り向いた。
見上げるくらいの大男。太陽を遮ってる。


「これ、なんだか解るか。」


叩いた手とは逆の手で、何かを摘み上げてる。


「なんですか。」

そういうと、私の膝の上にそれをおとした。何故か少しつめたい。
それを手にとって、しげしげと眺めた。


「イヤだ、スモーカーさん。ご覧になったこと無いんですか?」

馬鹿野郎と怒鳴られた。
怒っっているけど、少し照れて。
見たこと無い顔だったので、思わず吹き出した。

「何考えてるんですか?こんなモノ持ってうろうろして。」

私の深層心理が読めたのか、二度目の軽口をきいたら再び頭をはたかれた。
それは酷く扇情的な赤。しかもお揃いと来てる。

「馬鹿野郎、そこで拾ったんだ。」
ランドリーのある方を指さす。
「女性モノの下着の上下ですね。」
それを太陽に翳しながら呟く。際どい下着。
布地なんかちょっとしかないし、こういうのを着けるのはそういう商売をしてる女性だけじゃないのかしらといぶかしむ。
しかし、よくこの堅物の上司がこれを拾い上げ此処まで持ってこれた。
拾ったときの状況を想像すると笑いが込み上げる。

「遺失物係に届けとけ。」


それだけ言うと肩を怒らせて来た道を戻っていく。


その姿を見ながらもう一度その遺失物を見た。


どこかで。


「あーこれあたしのですー!!」


そのとき一斉に甲板にいたクルー全員がたしぎの声に振り返る。
皆が一様に驚愕と言っても差し支えのない表情で曹長を見た。
それをいち早く察した大佐は「散れ」と動揺を隠せぬ声で追い払う。



何もそんな大声で言わなくてもと、目を伏せながら呟く。

「きっと朝洗濯したときに落としちゃったんですね。すみません」
小走りに何とも言えぬ顔をして立ちつくしてる上司の前に立ち、
ありがとうございますと深く礼をした。


「しまっとけ。」


溜め息のような声で、それだけ言うとたしぎに背を向ける。
その姿を見送ろうと待っていたところで、もう一度振り返られた。



「ところで、純粋な興味できく。」
ちょっとだけ眉間にしわを寄せ、これは答えなくてもいい、と付け足された。

「はい。」


「お前、そんな派手なのを着けてるのか。」




神妙な顔をしてる上司に対して。







「え、私、下着は赤しか持ってませんけど。」

→position3


position第二話。
ネェ、これで本当に好いのかクレユキ。
しかもこんな短くッていいの??
まぁいいか
ところでクレユキの中のスモたし実はモデルがあります。
「ケイゾク」ってぇドラマがありまして、
その中で柴田純(中谷美紀)と真山徹(渡部篤郎)の二人がこんな会話をしてたり。

解る人だけが分かる話でスマン。

ところでこの話じゃ、大佐まだなんですね。(笑)
天然ボケ娘とストイックな大佐(奥手とも)の初めての夜はお楽しみに取っております。

うひひひ(エロ笑い)
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