amor fati 2
「秘密」
「また秘密の交換しましょう」
「それじゃぁそれまでこれは二人の秘密ね」
女にしか判らぬ事情というものはある。
そのまたも然りだ。常に真逆は真哉。

「こっちがキッチン。あっちはユニットバス。私たちの部屋はあっち」
勝手に探ったから知ってるわよねとちょっと怒ったように。
「食事は必ずサンジ君がちゃーんと呼びに来てくれるから大丈夫」後はと少し考え込むような顔をした。
「洗濯は各自、でもね」

と、少し小声になった。
「外に干しても良いけど、それなら蜜柑畑の隅へ。乾いたらすぐに取り込んだ方が好いわよ!!」
何故と、単純な気持ちで聞いてみた。



「昼間までサンジ君は大忙しだからよ」



成る程。
「後、女の子になっちゃったら言って。買い置きはクロゼットの奥の箱に」
ゴミはサニタリーボックスの中へ、大丈夫オトコ共にはちゃんと釘さしてあるから、
とは言っても解っていないのは船長くらいだけど。
キッチンの方でコックさんと追いかけっこをしている船長さんが見え、それを顎で指す。


初めの内は間が持たないのか、ナミは早口に喋った。
私が口を挟まず相づちだけをうちながら聞いていると、何か変なのと屈託なく笑った。

なんだか新鮮だった。
割合と歳も近い、とは言ってもかなりの開きはあるけれど・・・そういう女性との会話を私はした覚えがなかった。
上手くつき合えていないのは私の方かも知れないわと思いながら。
こなれていく内につまらないことで大笑いするような、そういう時間を私は誰かと共有したことがない。




一つだけ彼女が私に明かさないことで気になることがある。



真夜中時折彼女はベットを抜け出し、どこかへ行く。
行くとは言っても狭い船の中だからたかだか知れているけれど。
おおむね一時間くらい、時には二時間ほど帰ってこない。
けれど朝は必ず私より先に起きて、おはようと声を掛ける。



    逢い引きかしら。



だれと?? と悪いと思いながら笑ってしまった。
考えられる子はそうね二人かしら。大穴狙っても良いけど。
まぁあっちだろうなと、察しはつけた。
勘が鋭くて困るなんて初めてだわ。

彼女と私の間に幾ばくかのぎこちなさが取れはじめ、二人きりになったときにちょっと聞いてみた。



「ナミ、首の所虫に刺されてるわよ、痒くはないの?」
思い当たる場所をさっと手で隠し凄い勢いで振り向く。
なんて初々しいのかしら。
「船の上にも悪い虫が居るのね」
にっこり笑ってやると全てを察したようだ。


「いつから?」


いつ、どうしてを繰り返し、私を驚愕の目で見返す。
焦りと計算式で頭が一杯になった彼女はとてもキュートだ。
夜中ベットを抜け出しているのを知っていると言ったら
観念したように大仰にソファに倒れ込んだ。

「お相手は剣士君?」

ビンゴ!

彼女はもうダメだというように傍にあったクッションに顔を埋める。


「なんで判ったの」


サンジ君かもよ!!と見たこと無いくらい首まで真っ赤にしてこっちを睨んだけど
そんな可愛い嘘くらいすぐにお見通し。
見てれば判るわと付け加えたらあぁとうめいた。

「痴話喧嘩にしか見えないもの」

気をつけようと心細い独り言。

あんまり可愛いものだからその顔を見たくなってソファに腰を下ろした。
凄く意外ね、ちょっと想像できないわと笑いながらナミの肩をつつく。
一呼吸置いて顔を上げ「でっしょう!!」と言ったものだから二人して笑いだした。

「でも想像しちゃダメ」
「何故?」
「なんでも!!」

じゃぁ教えてよ、あなたの口から聞きたいわ。
あの子のこと、
あの子と居るときあなたはそんな風に頬が薔薇色なのかしら?


ナミは少し照れながら少し隠し事をしながらほんの少し教えてくれた。

夜中ベットを抜け出す訳。
あの子への愚痴。
でもそれでも馬鹿な女心。


こういう時間の過ごし方を知らなかった。
こんな話には全く縁がなかった。
他愛のない恋のはなしは少し青くさく、でも羨ましい。


「なによロビンニヤニヤして!!」
笑みが零れていたのか、ニヤニヤとは失礼ね。
「コックさんは知ってるの?」
多分、と前置き。

「でも諦め悪いからって自分で言ってるわ」


恐らく誰一人として気が付かない人物は居ないだろう。
顔の赤いナミを見ながら思わず吹き出す。

「また話して、聞きたいわ」
「でも秘密にしてね、おねがいよ」

大丈夫、まだまだ隠してることたくさんあるでしょう?
私にだってあるのよ。
聞いて貰いたいこと。

それを全部聞き出すまでは大丈夫、秘密にしておくわ。

end


なんかラブーい青くさーい話が書きたくなったのでこんな話に(笑)
因みに今回のテーマはニコサン+ゾロナミな「ナミさん初めてロビンちゃんと女の子の会話」
と言うかこの話はつなぎだからこんな実もない話になってみた。
言い訳だよ、スマン。
で、ランダムにこのニコサン+ゾロナミコラボレーションssは続きます。
書きたいところから書いていくという卑怯極まりない管理人。
因みに「霧の中で」もその一つ。
纏まったら、通し番号振るのでそれまで待ってくれ!!
じゃぁつぎは男の子編だ!!

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