星に願いを










七月六日、曇りのち雨



「こんばんわ」

夜分と言って差し支えぬ時間である。
流石に家人の就寝の邪魔になるやも知れぬと思ったのか、
夜分に尋ねて来た客は玄関のチャイムを鳴らしたあと出てきた主に詫びた。

「すまんの、夜遅うに。すぐに暇をするき」

客は女だった。
女らしからぬ出で立ちだが正真正銘女である。
今日来るとは聞いていたが遅くなるとも聞いていた。
十時を回っても連絡が取れぬので今日はもう来ぬものと思っていたのだが。

先日旧い友人である男を捕獲した。
今や貿易会社社長という役に就く男は、糸の切れた凧のようにふらりふらりと気侭に出かけるらしい。
無論、無断で、である。
大抵そう言うときにトラブルと言うものは起こるらしく、ソイツの右腕ともいえる女の気を揉ませる。
気を揉ませるだけ揉ませたら、帰巣本能に従って帰ることもあるのだが、
その本能も妖精任せという自由人。
捕獲したあと宅急便で送れといわれたので近所のコンビニから送ろうとしたら断られたので、
仕様が無くターミナルまで送った。

「いいよぉ、別に上がってきな、寝酒やってたところだし」

領収書が要るだろうよ、そう銀時は言って夜分の客を部屋に上げた。
神楽はチャイムの音なんかでは起きやしない。
女は玄関の引き戸を恐々と閉めながら、草履を脱ぐ為に上框に座った。

「何か呑むか、焼酎かコーヒーか、茶ぐらい出すぜ」

銀時は客を置き去りにしながら台所からそう叫ぶ。

「では茶を」

陸奥は草履を解きながら振り返る。
台所から茶筒を持ったままひょいと顔を覗かせた。
呑めないんだっけ、んなわけないよなと一人言ちたが勤務中じゃと答えると、
料簡したように冷たいのでいいよなといった。



「さっき着いたの?」


陸奥が草履を解いて廊下を進むと、台所に立つ銀時が見えた。
お茶を淹れるためにグラスを水屋から出して盆に載せた。

「ん」

いや、夜遅いからさぁ、グラスに冷蔵庫から出した麦茶と思しき冷茶を注ぐ。
寝巻き姿のところ邪魔をするのは申し訳なかったが上がれと言うのでまァよかろうと陸奥は返事をしながら思った。

「あぁ、夕方に」

何しろ自分は万事屋の顧客である。
しかしながら客は客でも礼もねぇやつは客じゃぁねェと言われてもおかしくは無いが、
家主は別段気構えも無い様子で奥に入れよと事務所のソファを指した。
一人かと聞かれたので一人だと答えた。
辰馬はすっ飛んでどっか行きおった、荷の水切りが済んだあと、
積み込みを任せて所要を済ませるために江戸の街へ入った。
此処を最後にしたのは一番時間に融通が効きそうであったからであり他意はない。

「まァ此の辺りで騒ぎゆうかぁらん」

軽く銀時は笑うと座った陸奥の前にグラスを置いた。

「いつまで居んの」

「荷の水切りが済んだきに、二時間後には出港じゃ」

じゃぁ良かったのに振込みで、グラスを置いて対面に座るかと思いきや、
そのままデスクへと座った。がさがさと引き出しの中を探している。

「あぁ、ついでがあったがよ」

梅爺軒のかすてらが食いとうて、と陸奥は言う。
此の間、取引先に持っていったら酷く喜ばれて、自分用にも買っておけばよかったと後悔したのだ。
と言えど、航海中はそれも叶わず、久方ぶりに陸に降りたついでに江戸に出店している姉妹店で購入した。
夜分に尋ねる為と土産を買ってきたのだが忘れていた。

「早ぅ食わんと痛むきに」

陸奥は立ち上がり置きっぱなしだった紙袋を渡す。

「かすてら?」

長崎の名物じゃ、昔、辰馬が好きでよく買ってきた。
粗目のところが旨いがよといいながら紙まで食べそうになるのが常だった。
しっとりとしていて昨今の洋菓子とはまた違うずっしりとした食感。
コーヒーよりも緑茶が合う。
銀時は、へぇぇと言って、ごっそうさん、喜ぶわと土産を一旦頭の上まで掲げた。

「子供らがか」
「イや、オレが」

酒も飲むが甘いもののほうが好きなのだと言う。
独り言のようにどこに隠しとこうかなというから、
梅雨時期はすぐにカビが来るぞと言ってやったら、もう食っちまおうかと呟く。
ビールにカステラはさすがに合わぬだろうて。

「宛名は、快援隊でいいんだっけ」

漸く探し当てた領収書と思しき帳面を取り出して尋ねた。
頼む、そう言うとさらさらと書き付けるペンの音がした。
やれやれ、今日の仕事が漸く終わったと陸奥は出されたお茶を飲む。
たかがお茶、しかも水道水から出した麦茶と言えど仕事の後の一服は一息吐けるというもの。
銀時は立ち上がると陸奥の対面に漸く腰をすえて領収書を差し出した。
陸奥はその金額を確認して懐から用意してきた金子と領収書を交換した。




「ところで、表にあったありゃぁなんなが」




銀時は飲みかけだったビールを口に運ぶ。
缶は汗をかいて少々温くなっていた。
表と聞いて何のことだと言いかけたが、すぐに合点が行った。

「七夕飾りだよ、知らねぇ?」

知っちゅうが、馬鹿にしてるのかと陸奥は思う。
今日は七月の六日である。後数時間もすれば日付変更線を越える。
七夕祭りは七日の夜と相場が決まっている。
表に出ていたのは小さな笹の葉飾りで、色とりどりの吹流しや薬玉が飾ってあった。

「かぶき町商店街でやってんの。明日川に流すんだよ」

七夕か。
季節の行事などとんと無沙汰だ。
自分で参加する行事など盆暮れ正月、あとはと考えたが思いつかぬ。
七夕などどれほど遡れば祝ったことを思い出せようか。
芋の葉に溜まった露を集めて墨をすると字が上手くなるとか、
素麺を糸に見立てて供えると裁縫が上達するというが、生憎裁縫は不得手である。


「どう、あんたもひとつ短冊書いてく?」


此方の思惑など意にも介さず、男はソファから手を伸ばして机の上に在ったペンと紙を取った。
細長い折紙を切って作ったであろうその短冊は、吊り下げるようにちゃんと紐がついていた。

「明日は雨じゃ、残念じゃが」

そうだっけ、と銀時はテレビのリモコンを取ってスイッチを入れた。
ちょうどキャスターが明日の天気予報を報じていた。
今日夜半過ぎから小雨が降り、明日は一日雨、
七夕祭りが各地で催されますが残念ですね、そんなことを言った。

あらホントだよォ、ソファの背に手を掛けながらただ酒が飲めねぇじゃねぇかと一人言ちた。
町内のお祭りなら振る舞い酒でも出るのだろう。
酒の心配など風情のない、そう言おうとした時男は微かに笑いながらまぁいいんじゃね、と言った。

「なぜ」

口を吐いて出た疑問符に男はにやりと笑う。

「だって一年に一遍きりの逢瀬だろ。
 他人に大勢見られながら致すのなんて俺は御免だね」

格好のいいことを言うかと思いきや何を言うのか。
しかも大真面目な顔をしてだ。

「下品な」

吐き棄てる様にそう言うと噛み付くように、
下品もなにも年一回しか会えなかったらまずそれだと思うけど、と彼の中の正論を説く。

そういえば同じようなことを言った馬鹿がもう一人いる。
辰馬の持論で男はみんなスケベだというのがある。
否定はしない。と言うのも性欲は人間の本能でもある三大欲の一つである。
それは分かる。けれども辺り構わず垂れ流していい種類の欲ではない。
と言うよりもすべての欲望を周りに吐き散かすような真似は慎むべきである。
しかしながらそう反論した折、辰馬は至極真面目な顔になってこう言った。

「陸奥、男には二種類の男しか居らん。むっつりスケベかオープンスケベか。ちなみにワシは後者じゃ」

それは年に数分辰馬が放つ怜悧な声であった。
怜悧な声であったが内容はろくでもない。
類は友を呼ぶと言う奴だ。
辰馬と此の男の馬が合うのがなんとなく分かった気がする。


そんな連中に反論するのも情けなかったが、
類が友を呼んだ男はまァしながらでも喋れるか、と更に続けた。
はぁと陸奥は溜息を一つ吐いた。
溜息と言うよりも鼻で笑ったと言う風情である。
ぺらぺら喋りながらなぞ品の無い、カルキの香りのする麦茶を飲んだ。
ビールを頼んだほうが良かったかと思った。

「あ、そう、最中喋んないんだ、へぇ」







「いつもはうるせぇのによ」







じろりと陸奥は銀時を見た。
こういう人間には耐性がある。
リアクションするのも億劫なのだがお前もかという眼で見る。
およそ客に対する態度でないのが気に喰わないが、
友人を介した知り合いと言う気安さの所為なのか、
それともただのオープンスケベの気性の現われなのか、
兎も角様々ひっくるめての「お前もか」と言う視線である。



「あれ引っかかってくんないの」


男は何故か愉快そうに笑った。
こういうところも辰馬そっくりでいやになる。
こんな男の相手は一人でたくさんだ。

「そろそろ行かねば、馳走になった」

用事は済んだ、早々に退散しようと腰を上げた。
男は見送りがてら同じように腰を浮かせた。
構まんよと言うがお得意さんだしなとぺたぺたという足音をさせてついてきた。

「そうか今日の晩出港なら、あんたらの艦からはよく見えるだろうな」

後ろに部屋の主は所在無げに立っていたが思いついたように言った。
なにが、来た時と同じように上框に腰をかけて草履を履く。

「星が」
「おんしゃぁさっき見られるのは御免だと言うちょったが」

思わず振り返り裏腹なことをと呟けば、
祭なんだし見えたほうがいいだろうよと足の指で脛を掻きながら言った。
ただ酒も飲めるし、かと問えば風情がねぇなぁと首を捻った

「なァ、短冊書いてけよ」

見送り人の手には先ほど突っ返した短冊があった。
いやに押すなと思ったのだが、断るのも面倒だなと思い直し、
ちょっと考えて、「航行安全」「商売繁盛」と書いておいた。
こういうものは神頼みに限る。

それを上から覗いていた銀時は七夕なのによ色気のネェ、
そう哀れみの声を上げた。

やかましィ、草履の紐を結び終え立ち上がった陸奥は短冊をまじまじと見ている銀時を見た。


「己の希くらい星にらぁて頼まうても自分で叶えられるきに」



男は何故かふぅんと笑い、あぁそうかいと下駄を突っかけた。
返せと短冊を奪い取り、玄関の扉を開けて笹の葉飾りに引っ掛ける。
他にもいくつか短冊が吊り下げられている。
そのなかで見えたのは仕事がたくさん来て給料が払ってもらえますようにだとか、
銀ちゃんの足のくさいのが治りますようにだとか、およそ七夕に相応しくない願いだ。

「ところで、おんしゃァなんて書いたがよ」
「バカ、見るな」

ひらりとめくった短冊には銀という字があった。
これだ。

『血糖値が正常値に下がってパフェが毎日食い放題出来るようになりますように』

他人の希を馬鹿にするくらいならさぞ自分はご大層な願いでも書いているのだろうと思えば、これだ。
さもしいのう、哀れみを込めた視線を投げた。
うっせぇこちとら必死なんだよ、ケーキバイキングとか行きてェんだよ、と吠えた。
大の男がケーキバイキングらぁてと呆れたが、好きなものを断つというのは中々難しいものだが、
それこそ色気のない願いではないか。
いや、寧ろ此の願いと言うか望みは自分で何とかしないといけない類の願いなのではとも思ったが、
他人の血糖値を気にしている場合ではない。
色気がないのはお互い様だと言うことでそれじゃぁと万事屋を後にした。

空はネオンで明るいが、月も星も無い。
一雨来そうな、そんな匂いがした。







     *






陸奥はしまったなと思った。

大通りに出てタクシーを拾えばよかった。
ケチって終電に乗ろうとしたのが過ち。
駅に向かう道をここと選んだのが間違い。


「どがぁしたこがァなところで」


こんな広い江戸でどうしてこんな風に「偶然」会うのか。
考えられなくはない。
彼が江戸へ戻ったとき行く場所など大概は決まっているし、
自分が今宵所用の最後の目的地としたのも同じ街である。

そして時間。
今から戻れば丁度出航手続きが終わる前に戻れるし、幸い終電もある。
だから不思議なことではない。

だからと言って毎日飽きるほど見ている面を、
お互い打ち合わせもなく外で付き合わせるような偶然など不要だ。

此方の思惑などとんと意にも介さず、
もしかして、お迎えかぇ、見慣れた鳥の巣頭はにやりと笑った。
誰がそんな殊勝なことをするか。

「あほう、遣いの帰りじゃ」

足も止めずに其の侭、帰路を進む。
坂本は横に並びながらなぁんじゃと言った。

「いつから呑みゆうか、千万酒臭いやけど」

男は上機嫌であった。
その割に足元はふらついてはいない。

「ゆうたち艦に戻んちゅうろう、11時半にゃ支払いを頼んだちや」

どうだか。
追い出されたのかも知れぬなと陸奥は思った。
ホステス嬢との火遊びもいいが、本業の「遊び」に戻ってもらわなければ。
早う往なんと、と陸奥は足を速めた。
二人ならタクシーを拾ってもいいやも知れぬ。

「おや、雨」

そのときぱらぱらと路面に雨粒が落ち始めた。
道行く酔漢たちが次々と広げる傘が花のように次々とひらく。
陸奥は雨を避けようと道端のアーケードの方へ身を寄せた。
眠らぬ街は真夜中になると言うのに、酒屋もケーキ屋も店を開けていた。
光の中に傘を持たぬ人が走る姿が踊った。

坂本は傘を持っていた。
其の侭さして歩くのかと思いきや、
ちくと持っとうせと陸奥に開いた傘を持たせて斜向かいの店へ入った。

花屋か。

主は花売り娘、と言うほどに若くはなかったが、
女店主は坂本とは顔見知りらしく何か大袈裟な手振りで話している。
こんな夜遅くに店を開けていて客は来るのかと思ったが、
ちらほらと店の前には客が居た。
そうか目当てのホストやホステス嬢への土産用、或いは店の飾り、祝い事等には花は欠かせぬ。
実入りのいい商売なのやも知れぬ。

坂本は店先にある花には眼も呉れず、店の奥へと入りすぐに出てきた。
出てきた時には花束を持っていた。
どういうわけかその中から一本抜き取って店主に捧げる。

「まめな男じゃ」

どこで覚えたかその小賢しくも使い古された真似は、
粋を旨とするかぶき町の花屋の主人には少々野暮に映ったようだが、
それを跳ね除けると言う更なる野暮はせぬようだった。
坂本は手を振り振り店主に別れを告げると雨の通りを走って戻った。

ほれ、と傘と交換と言うように花束を、陸奥に渡す。

「もうはや七月七日じゃ」

陸奥は傘を坂本に返しながらそれを片手で受け取った。
黄色い薔薇と一重の白い花。
詳しくはないがこれも恐らく野薔薇の一種か。

「あぁ覚えちょったがかぇ」

忘れるわけないがで、坂本は傘の柄を受け取りながら先に歩き始めた。
陸奥もそれについて歩く。

「思いつきにしちゃァ上出来じゃ」
「ちゃぁんと頼んどったがよ」

嘘を吐け、そう言いながら通りを歩く。
終電はもう行ってしまっただろうか。

ぱらぱらと雨の音が傘を叩く。
粉糠雨だったのが粒が大きくなった。
強くなったか、と陸奥は七夕の空を見上げる。
電車ではなくすぐにでもタクシーを拾って帰った方が得策やも知れぬ。

「辰、車を」

被っていた笠から面を上げて、頭一つ大きい男を見上げた。
その時同時に辰馬の傘がゆっくりと傾いて、二人の姿を隠した。


 雨の音が、消えた。


強くなった雨に人々が走る。
足元を見ながら、きゃぁきゃぁと子供のように声を上げて。
陸奥は空を見ていた。
空を見て何か言おうとした。

車を拾おう、そう言おうとした。

けれどワンテンポ遅れた。

口唇は別の事に使われていた所為。
冷たくてやわらかで、しかも酒くさい別の他人の口唇が一瞬その役目を言葉を奪った。




ひょいと傘が動き、本来の役目に戻った。
ぱらぱらと張った布の上で雨が踊る。
辰馬は先に一歩足を進めた。
陸奥は半歩遅れてそれを追う。

「何の真似じゃ」

こがな往来で、と呟く。
辰馬は愉快そうに笑いながら、なんちゃぁない、傘の陰やったと笑った。
他人に見られながらなぞ、と陸奥は少々顔が火照るのを感じたが誰も気がついては居まい。
大粒の雨から皆逃げるように足を早めていた。

「明日は江戸は雨じゃ、残念じゃの」

かぶき町で七夕祭りをするというちょった、辰馬は下駄を鳴らして歩く。
急ぐ風でもなく、まるで雨の夜を愉しむように。

「あぁ聞いた」

辰馬は一瞬笑った後、暗い空を見上げた。
月もなく、星も無い、暗い雲が覆う雨空を。

「まァえぇかもしれんの、織姫さんにゃ」
「他人に見られんでえぇからかえ」

振り返るように辰馬は陸奥を見る。
顔を見てやろうと思ったのがだ生憎、笠の所為でよく見えぬ。

「ありー、今ワシ言おうとおもっちょったのに」

シンパシーかの、そう笑った。
馬鹿を言え。


本当に見せたくないのは牽牛たちだ。
自分ひとりの織姫を、その時間を誰に邪魔されることなくと思っているに違いない。

雨のスクリーン、厚い雲、傘の陰。
地上に流れる色とりどりの、光の川を渡って。
一年の内、ただ一夜のために。




「陸奥よ、短冊は書いたがかえ」
「商売繁盛言うて書いた」

なんじゃぁ、色気が無いのぅ、辰馬は言った。

「おんしは」

陸奥は色気の一つも出さずに問い返す。
傘の中で辰馬は一度首を傾げ、苦笑い。

「ワシ?ワシは…航行安全」
「おんしもやか」

色気がないのはお互い様だ。

「ゆうたち、望みは自分で叶えんと」

辰馬はさも自信ありげに言う。
根拠レスの此の自信は一体どこから漲るのか。

「望みてなんじゃ」

過度な楽観主義の男の隣を歩きながら陸奥は尋ねた。
辰馬は恥ずかしいちやとおどけるように言った後、はよう言えと小突かれた。

「えぇ、陸奥がァ、ワシのことをォ、好きになりますようにィ、なんちて」


陸奥はそれを鼻で笑う。




「ほれこそお星さまにでも頼んだほうがいいがやないかぇ」



え、なんながほりゃぁ、辰馬は尋ねた。
陸奥は一瞬足を止めた辰馬を置き去りにして足を早め、
投げるように言い放つ。



「神頼みでもしやぁせんといかんと言うことやか」



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WRITE / 2008 .7 .7

あがりました。

七月七日、今年は晴れましたね。
昨今夜も明るい所為で天の川は見えませんが、
ラスト十五分で滑り込みセーフ。
陸奥、お誕生日おめでとう

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